
2024年12月時点 -ケアマネジャー不足の解決に向けた動き-
高齢化社会が進む日本では、ケアマネジャーを始めとした介護職の人材は欠かせません。
しかし、処遇問題などさまざまな課題もあり、人材不足が顕在化しています。
本記事では、ケアマネジャー不足に対して国がどのように動いているのかご紹介します。
目次
顕著化するケアマネジャー不足の解決に向けた動き
高齢化社会が進む日本において、ケアマネジャーの人材不足が顕在化しています。
これは、介護業界と他職種との間に大きな処遇の格差があることが1つの原因とされています。
このような状況のなかで、厚生労働省は2024年12月9日に「“ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会”の中間整理」を報告しました。
この報告では「10年以内には、ケアマネジャーの担い手は急激に減少することが見込まれる」と記されています。
そうしたことを受けて、ケアマネジャー不足解決のため「他産業・同業他職種に見劣りしない処遇を確保する」ことを明記し、低い給与水準の引き上げに取り組む意向を示しました。
また、ケアマネジャーの負担軽減のため、業務範囲についても明確化しています。
たとえば「利用者からの相談」「ケアプランの作成」などは法定業務、「代筆・代読」「救急搬送時の同乗」などは保険外サービス、「家事支援」「財産管理」などは他機関につなぐべき業務と定めています。
これは、法定業務以外の業務はケアマネジャーにのみ担わせるのではなく、地域課題として地域全体で対応を協議する必要があるという考えが背景にあります。
さらに、介護報酬の処遇改善加算を公平にするための検討は引き続き行うこととしています。
現在、居宅介護支援のケアマネジャーは介護報酬の処遇改善加算を得られません。
しかし、介護施設などで働くケアマネジャーはその恩恵を受けることができます。
その乖離を今後どのように埋めていくのかは検討すべき点であることは間違いないでしょう。
更新研修継続の意義
ケアマネジャーは資格取得から5年に1度行われる研修のことです。
専門性を高めて資質向上を図るという意味では、更新研修には意味があります。
しかし、更新研修の費用の高騰や自己負担しているケースなどもあり、そうした負担がケアマネジャーの人材確保において障壁になっているという問題もあるのが現状です。
そのため、更新研修の大幅な負担軽減とともにそのあり方について検討することも必要とされています。
出典:厚生労働省 「ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会」の中間整理について(報告)
その他のケアマネジャーをめぐる課題の解決案
上記以外にも、ケアマネジャーの人材確保や定着を妨げている課題はいくつかあります。
以下では、課題とその解決案をご紹介します。
スキルアップ支援
ケアマネジャーのスキルアップに役立つものとして、「認知症介護実践者研修」「介護支援専門員レベルアップ研修」などがあります。
しかし、現状は業務範囲が広く激務になりやすいことから研修を受ける時間を確保しにくいことが少なくありません。
そのため、現職のケアマネジャーがスキルアップするのが難しくなっています。
これを改善するためには、勤務体制を柔軟に整えることで再研修を受けやすい環境を整備することが重要になるといえるでしょう。
利用者との信頼関係強化
介護サービスの一端を担うケアマネジャーにとって、利用者との信頼関係強化も重要なポイントです。
ケアマネジャーが退職を考える理由の一つに、カスタマーハラスメントがあります。この問題に対処するためには、事業所ごとにハラスメント対策を整えて働く環境を改善することが必要です。
また、利用者のニーズにあったサービスを提供するために、ケアマネジャーだけでなく担当者会議等を行ってチームでサービスの質向上を目指す取り組みも必要であると考えられています。
ケアマネジャー不足の解決に向けた動きに期待しましょう
高齢化社会が進む日本において、ケアマネジャーはなくてはならない人材です。
しかし、処遇などの問題から人手不足が深刻化しています。
本記事でご紹介したように、国もその課題を認識していて、その解決のためにさまざまな取り組みを行う方針を示しています。
今後どのように課題が解決されていくのか、現在ケアマネジャーとして働いている方はもちろん、ケアマネジャーを目指している方にとって注目していきたいポイントです。