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手術後に呼吸悪化を起こした患者に対して看護師が対応することは!?

術後の患者さんの身体にはさまざまな変化があり、呼吸が悪化してしまうことも少なくありません。
呼吸悪化を起こした患者さんに対して、看護師はどのような対応をすればいいのでしょうか。

本記事では、手術後に呼吸悪化を起こすパターン、看護師が対応することや注意すべきことをご紹介します。

手術後に呼吸悪化を起こすパターン

手術後に呼吸悪化を起こす原因として、大まかに以下の5つのパターンに分けられます。

  • アナフィラキシーショック
  • 気管支喘息
  • 肺血栓塞栓症
  • 肺炎
  • 心不全

術中・術後に投与される薬剤や輸血などの影響により、アナフィラキシーショックが引き起こされ、呼吸困難になることがあります。
それに伴って、気管支喘息が起きることもあるため注意が必要です。
患者さんがヘビースモーカーであったり高齢者であったりする場合、心肺機能が低下しているため、呼吸困難に陥ることもあります。
また、これらの呼吸悪化を起こすパターンのうち、肺血栓塞栓症は、死亡率が高いため特に注意が必要です。

看護師が対応すること・流れ

呼吸悪化の状態を経過観察すべきか、緊急に対応すべきかの判断がつきにくいケースも多いです。
以下に看護師が対応することや流れについてまとめますので、参考にしてみてください。

  1. 不定愁訴ではないか見極める
  2. 苦痛の緩和を行う
  3. 患者さんの状態を見極め評価する
  4. 応援要請と医師への報告
  5. 適切な処置を行う

呼吸悪化による息苦しさは、客観的に見極めるのが難しいことが少なくありません。
また、患者さん自身が「息苦しい」と訴えていたとしても、患者さんの主観であることから判断しにくいこともあります。

そのため、まずは不定愁訴であるかどうかを見極めます。
不定愁訴ではないかの見極めとともに、楽な体勢になってもらったり背中をさすったりして苦痛を緩和しましょう。
並行して、気道・呼吸・循環・意識を確認して異常がないかを評価します。
もし異常があると判断できる場合は、応援を要請して医師に報告します。
応急処置や医師の指示に従って適切な処置を行い、バイタルサインの安定化を図っていきます。

看護師が対応時に注意したいこと

手術後に呼吸が悪化した患者さんへの対応では、以下の点に注意しましょう。

フィジカルアセスメントの確認項目

フィジカルアセスメントは、呼吸が悪化した患者さんへ適切な対応を行うために行う身体診査です。
患者さんの情報を得て評価するために、問診、視診、聴診、打診、触診などを行います。
呼吸の状態を知る場合、フィジカルアセスメントの確認項目は以下の通りです。

  • 呼吸数
  • 呼吸音
  • 胸郭の動き
  • 努力呼吸の有無
  • 呼吸の深さ
  • 既往歴の確認

呼吸数や呼吸音に異常がないか、胸郭の動きは左右対称であるか、努力呼吸していないか、呼吸は浅くないかなどを問診、視診、聴診、打診、触診によって確認します。
また、呼吸機能が低下するような既往歴などがないかも確認しましょう。

酸素投与

術後に行う酸素療法において、酸素投与量は患者さんの呼吸状態に合わせて調整することが大切です。
酸素投与量が多く、酸素濃度が高いような状態はよくありません。
呼吸に異常があるにもかかわらず、その発見を遅らせてしまう可能性があるためです。
呼吸悪化の発見が遅れてしまえば、重篤な状態に陥ることもあり危険です。
呼吸悪化の状態をなるべく早く発見し適切な処置をするためにも、術後の酸素療法では適切な酸素デバイスを用いて、適切な投与量・濃度で行いましょう。

バイタルサイン測定

バイタルサイン測定

術後は、バイタルサインを測定して患者さんの状態を観察します。
測定する項目は血圧・脈拍・呼吸・体温が基本ですが、集中治療室であれば意識レベル・尿量を含めて測定します。
手術の内容や術後の状態によって異なりますが、たとえばモニタリング中なのであればその結果をまずはチェックしましょう。
意識レベルや浮腫・麻痺の有無など、患者さんに触れなくてもわかるものから測定していくとスムーズです。

また、検温であれば必ずしも1時間毎(24検)にするとは限らず、朝の検査結果が良いのであれば3時間毎くらいに間隔を空けることもあります。
患者さんの状態に合わせて、臨機応変にバイタルサイン測定を行いましょう。

異常の早期発見と適切な対応が大切

術後は、患者さんの身体にさまざまな変化が現れ、その後の容態に大きな影響を与えます。
特に呼吸は人間が生きるために必要不可欠なもので、悪化すれば命に関わることもあるため適切な対応をしなければなりません。
本記事を参考に、患者さんの状態に合わせた測定や適切な酸素投与を行い、重大な事態に発展させないように十分に注意して業務にあたりましょう。