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採血が上手な看護師の特徴。患者が貧血を起こすことはある?

採血は検査に必要な検体を採取する処置であり、看護師が行います。
採血が上手な看護師は、それだけで患者さんにとって有難い存在になれます。

本記事では、採血の基本・コツ・注意点、採血室で働く看護師の業務についてご紹介します。

採血の基本

採血は、病気の診断や患者さんの状態を把握するために行う血液検査に必要な処置です。
さまざまなシーンで行われるため、看護師には採血スキルが必要不可欠といえます。

血液検査において、看護師が対応するのは「静脈血採血」が一般的です。
採血方法としては、「真空管採血」と「シリンジ採血」の2種類あります。
患者さんの状態、検体の必要量によってどちらを実施するかが決まります。

採血は患者さんが痛みを伴う侵襲的処置です。
採血を始めとした注射に対して苦手意識を持つ患者さんが多いため、確実な手技を身につけることはもちろん、声かけなどで不安を和らげることも大切です。

採血室で働く看護師の業務内容

採血室で働く看護師は、以下のような業務を行います。

  • 患者さんへの採血を行う
  • 患者さんの体調管理を行う
  • 緊急時に適切な対応を行う
  • 採血管等の備品管理を行う

採血室で働く看護師の主な業務は、患者さんに対して採血を実施することです。
1日に何人もの採血を行いますので、採血スキルは確実に身につき向上します。
体調不良を訴える患者さんも少なくありませんので、採血を行う際には患者さんの情報収集を行うとともに、採血中の様子・異変などについて医師・看護師にスムーズに伝える必要もあります。

また、痛みが苦手な患者さんは、副交感神経が優位になって血圧低下や吐き気、失神といった症状を起こすこともあります。このような症状への対応も、看護師の役割となります。
もちろん、採血に必要な採血管等の備品管理や環境整備を行い、常に万全の状態で採血できるようにしておくことも大切な業務です。

採血の準備と手順

採血

スムーズに採血を実施するためには事前準備をしっかり行い、手順について理解しておくことが大切です。
採血では、以下のものを準備します。

  • カルテや採血指示書
  • ゴム手袋(ディスポーザブル品)
  • アルコール綿(アルコール過敏症の患者さんの場合はアルコールではなくグルコン酸クロルヘキシジン)
  • 駆血帯
  • トレイ
  • サージカルテープ
  • インジェクションパッド
  • 採血スピッツ
  • 携帯用の針捨て容器
  • 肘枕

また、シリンジ採血と真空管採血ではそれぞれ以下のものを準備します。

  • シリンジ採血:シリンジ、18~23Gの注射針、分注ホルダー
  • 真空管採血:分注ホルダー付きの注射針

これらのアイテムが準備できたら、採血しやすいように配置します。
一般的に行う静脈採血では、片手での操作が多くなります。
そのため、準備したアイテムは手の届きやすい場所に工夫して配置しましょう。

以下では、採血の手順について紹介していきます。

STEP①:採血部位を選定する

スムーズに採血を行うために、採血部位(血管)を選定します。
まず、駆血帯を穿刺部位の5~10cmほど上に装着して血管を見えやすくします。
血管が目視できたら指で触れて、その太さ・弾力・走行について確認しましょう。
しっかり血管が見えない場合は温かいタオル等で血管を温めます。
選定時に採血に適さないと判断される場合は、もう片方の腕も確認してみましょう。

採血を安全かつスムーズに行うためには、血管の選定がとても重要です。
そのため、多少時間がかかったとしても丁寧に確認することが大切です。

STEP②:患者さんへの説明

患者さんによっては採血に不安を抱いている方もいます。
そのため、採血を実施する前には必ず、その目的と手順について分かりやすく説明しましょう。

緊張が強い場合は、リラックスしてもらうために雑談などを交えてもかまいません。
緊張が強いと、副交感神経が優位になって採血後に気分が悪くなったり失神してしまったりすることがあります。
患者さんへの説明や適度なコミュニケーションは、そうしたトラブルを防ぐことにもつながります。

また、アルコールアレルギーの有無についても必ず確認しましょう。

STEP③:採血の実施

採血前には、アルコール綿により穿刺部位の皮膚消毒の皮膚消毒を行います。
布や手で拭わずに自然乾燥させましょう。

採血針を刺入する際には、針を持っていない側の親指にて刺入部の下を軽く押さえて皮膚に張りをもたせます。
血管の走行に沿って、角度に気をつけながら刺入しましょう。
刺入後、指先などにしびれがないかも確認します。

その後、ホルダーを保持したまま採血スピッツを差し込みます。
採血スピッツに血液が流入し停止したらスピッツを抜去し、転倒混和します。

続いて駆血帯を解除して採血針を抜去、速やかにアルコール綿等により消毒および圧迫止血します。

STEP④:採血終了

採血が終了したら、採血針はホルダーから外すことなく、そのまま専用の廃棄容器へ破棄しましょう。
患者さんにしびれやめまい等がないかを確認し、止血についての説明をします。

通常、採血後は5分程度の圧迫止血が必要です。
疾患や薬剤の影響で出血傾向がある場合は、長めに止血するように伝えましょう。

採血のコツと注意点

採血はさまざまなシーンで行われる処置であり、採血を担当する看護師は1日に何人もの患者さんの採血を行います。
1日の処置数の多い採血ですが、ミスをすると重大な事故につながることもあります。
そのため注意点について理解し、採血のポイントをおさえておくことが大切です。

採血のコツ

採血をスムーズかつ安全に行うためにも、以下のコツをおさえておきましょう。

  • 血管をしっかり出す
  • 血管をしっかり選定する
  • 針の角度は15~20度
  • 針を動かしてはいけない

まずは、しっかりと血管を出して採血するのにベストな血管を選びましょう。
血管は患者さんによっては出にくい方もいます。
そのような場合は、腕を温める・腕を心臓より低くしてもらう・親指を中に入れて握ってもらう・水分を摂ってもらうといったことをしてみましょう。
それで浮き出た血管を実際に触ってみて、「太く浅く弾力がある血管」を選んでください。

針の刺入角度は15~20度くらいが目安です。
角度が浅すぎるとせっかく選んだ血管に届きませんし、深すぎると血管を貫通してしまう恐れがあるためです。

また、逆血確認後に刺入した針はしっかり固定し、動かしてはいけません。針が動いてしまうと血管を貫通してしまうことがあるためです。
内出血や皮下血腫を引き起こすこともありますので、絶対に動かさないようにしましょう。

採血の注意点

採決後の止血

採血を行う際には、以下のことに注意しましょう。

  • しっかりと止血する
  • アレルギーの有無を確認する
  • 駆血時間、採血時間に注意する
  • 神経損傷にも注意

採血後にはしっかりと止血を行うことが大切です。
十分な止血が行われないと、皮下血腫を引き起こすことがあります。
凝固薬などを服用している、易出血傾向がある患者さんは止血時間を長めに取らなければなりません。

採血前には必ずアレルギーの有無についても確認しましょう。
採血で起こり得るアレルギーは、アルコールや手袋(ラテックス)に誘発されることが多いです。
それらの既往がないかチェックしておいてください。

また、採血を行う時間についても注意しましょう。
目安としては、駆血時間はトータル2分以下、採血は1分以内です。
採血中・採血後に万が一患者さんが失神するなどのトラブルが起きた場合は、アセスメントして緊急を要するかどうかの判断を行い、速やかに医師へ報告して指示を仰ぎましょう。

「採血上手な看護師」を目指しましょう

採血は病気の診断や患者さんの状態を知る血液検査のために重要な処置です。
侵襲的処置であるため、なるべくスムーズに行って患者さんに負担をかけないようにすることが大切です。

本記事でご紹介した採血の準備や手順、コツや注意点を参考に、採血についての理解を深めましょう。
そして「採血上手な看護師さん」と患者さんから思われるようにスキルを磨いていってください。