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介護業界に影響する2040年問題。労働人口が減るなかで国が推進する対策とは

2040年問題は、少子高齢化の進行に伴って発生するさまざまな問題の総称です。
介護業界は少子高齢化の影響を大きく受ける業界の1つであり、2040年問題の影響を大きく受けます。

本記事では、2040年問題を受けて国がどのような対策を進めているかを紹介します。

2040年の人口推移と人口構成予測

2040年は、団塊ジュニア世代(第二次ベビーブーム世代)と呼ばれる1971年~1974年生まれの人が全員65歳以上の高齢者になる年です。
厚生労働省の「我が国の人口について」によると、2040年の総人口は1億1,284万人とされています。
2020年の総人口は1億2,615万人であったため、約1,300万人もの人口減少が予測されています。
2040年の人口内訳を見ると、15歳〜64歳のいわゆる生産年齢人口が約55%、14歳未満が約10%、65歳以上の高齢者は約35%です。
2020年では、総人口における高齢者の割合は29%でした。
この20年で、高齢者の割合が約1.2倍に増えることが予測されます。

出典:厚生労働省「我が国の人口について

地域格差の予測

2040年においては、生産年齢人口の割合で地域格差が起こると予測されます。
国立社会保障・人口問題研究所の「日本の地域別将来推計人口(令和5(2023)年推計)報告書」によると、2035年と2040年の間で人口増加が予測されているのは、東京都のみです。
65歳以上の人口割合を見ると、2040年には東京都を除くすべての道府県で、65歳以上の人口の割合が30%以上になると想定されています。
東京都やその周辺、大阪府、愛知県などでは2040年の生産年齢人口割合が全国平均を越えていますが、多くの道府県では全国平均を下まわる予想です。
これらのデータから、2040年には人口減少や高齢化が全国的な傾向となり、生産年齢人口に地域格差が生じる状況が予測されます。

出典:国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5(2023)年推計)報告書

2040年問題の具体例

ここでは、2040年問題の主な具体例3つを紹介していきます。

社会保障費の増大

2040年問題の具体例として挙げられる1つが、社会保障費の増大です。
この問題は、人口の高齢化と深い関連があると考えられます。
厚生労働省の資料「今後の社会保障改革についてー 2040年を見据えてー」によると、2040年には社会保障費の給付額が最大で約190兆円と想定されています。
2018年の社会保障費の給付額は121兆3,000億円であったため、計算上約1.5倍の増加です。

医療分野における公費負担額は、2018年が17兆1,000億円であったのに対し、2040年は最大で約32兆9,000億円と想定されています。
計算上では、約1.9倍の増加です。
介護分野における交付負担額は、2018年が5兆9,000億円であったのに対し、2040年は最大で約14兆2,000億円と想定されます。
計算上では約2.4倍の増加であり、医療分野より増加幅が大きくなっています。

出典:厚生労働省「今後の社会保障改革について ー2040年を見据えてー

労働力人口の減少

2040年問題の具体例としては、労働力人口減少もあげられます。
ある研究機関の統計では、2022年の労働力人口は約6,900万人であったようです。
その後、労働力人口は徐々に減少し、2040年には約900万人減少すると予想されています。

介護人材の不足

社会保障費の増大や労働力人口の減少とも関連する2040年問題の具体例が、介護人材の不足です。
厚生労働省が示した「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」では、以下のように示されています。

  • 2026年度に必要な介護職員は約240万人(約25万人不足)
  • 2040年度に必要な介護職員は約272万人(約57万人不足)

2026年度と2040年度を比較すると、不足幅は約2倍です。

出典:厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について

厚生労働省が掲げる2040年問題への対策

ここでは、厚生労働省が掲げる2040年問題への対策について紹介していきます。

働き方の多様化

厚生労働省で掲げている「働き方の多様化」としてあげられるものは、主に以下のとおりです。

  • 中途採用の拡大
  • 副業や兼業の推進
  • 70歳までの就業機会確保

厚生労働省では「誰もがより元気に長く活躍できる社会の実現」を目指しており、働き方の多様化もその1つです。

出典:厚生労働省「2040年を展望した社会保障・働き方改革本部のとりまとめについて

健康寿命の延伸

健康寿命

厚生労働省では、2040年における健康寿命の具体的な目標として、以下の数値を挙げています。

  • 男性:75.14歳以上
  • 女性:77.79歳以上

具体的には、健康的な生活習慣形成に関する取り組みや、健康診断やがん検診受診に関する取り組みなどです。
また、高齢者が要介護状態やフレイル(虚弱)状態、および認知症になることを予防する取り組みも進めていきます。

出典:厚生労働省「2040年を展望した社会保障・働き方改革本部のとりまとめについて

医療・福祉サービスの改革

医療・福祉サービス改革の目的は、各種現場における生産性の向上です。
具体的な取り組みとしては、ロボットやAI、ICT機器などの活用や、看護師の業務拡大などがあげられます。

出典:厚生労働省「2040年を展望した社会保障・働き方改革本部のとりまとめについて

2040年問題への国の対策に注目しよう

人口減少や少子高齢化などにより、介護業界に大きな影響を及ぼすものが2040年問題です。
具体的な課題としては、社会保障費の増加や労働力人口の減少などが挙げられます。
これから介護業界で働くことを検討している方にとっても、2040年問題は重要なものとなりますので、国がどのように対策を進めていくのかを注目していきましょう。