
介護職の未来を変える?石破総理の「政治主導で判断」と特定最低賃金導入の影響
「介護の仕事はやりがいがあるけれど、給料が安いことが悩み」
「介護職に転職したいけれど、今より給料が下がるのではないか」
このような思いを抱えている方も、いらっしゃることでしょう。
2025年3月には、「介護分野への最低賃金導入」に関する話題がテレビや新聞などのニュースで取り上げられました。
本記事では、特定最低賃金の導入に関する背景や影響、介護職への転職・就職を考える方々が知っておきたいことをご紹介します。
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目次
石破総理の「政治主導で判断」とは
2025年3月17日、石破総理は参議院予算委員会にて、介護などを担うエッセンシャルワーカーや成長産業分野での人材確保に向けて、「特定最低賃金」の導入を進めていく考えを示しました。
石破総理は、「賃金が上がらないと、この国の経済はもたないという強い認識がある。政治主導できちんと判断したい」とも述べています。
政治主導とは、政治家が官僚に依存せず、主体的に政策の立案や決定などを行うことです。この言葉からも、石破総理の「介護職への特定最低賃金導入を積極的に進めていく」という方向性が見てとれます。
翌3月18日には、自民党と公明党の幹部が、「エッセンシャルワーカーの賃上げに向けて、特定最低賃金の導入が必要」という一致した認識を示しました。
続く3月21日、福岡資麿厚生労働大臣は閣議後の記者会見で、「介護職員の処遇改善は喫緊の課題である。特定最低賃金の実態について再確認し、検討を進めたい」と述べています。
介護業界の人手不足は深刻な状況です。
厚生労働省の「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」によると、2026年度には約240万人、2040年度には約272万人の介護職員が必要とされています。
2022年度の介護職員数は約215万人でした。
介護職員数が2022年から大幅に増加しないと仮定した場合、2026年度には約25万人、2040年度には約57万人の介護職員不足が予想されます。
介護職員不足の主な理由としてあげられるのが、要介護高齢者数の増加です。
内閣府が公表した「令和6年版高齢社会白書」によると、介護保険制度において、要支援・要介護の認定を受けている65歳以上の高齢者は、令和3年度で676.6万人でした。
平成23年度は515.0万人であったため、この10年で161.6万人増加しています。
要介護高齢者数は年々増加しており、早急な介護職員不足解消が求められます。
出典:厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」
出典:内閣府「令和6年版高齢社会白書(全体版)(PDF版)」
特定最低賃金とは
特定最低賃金とは、特定の産業について設定されている最低賃金です。
労働者と使用者からの要望を受け、最低賃金審議会が調査審議を経た結果、地域別最低賃金よりも高い水準の最低賃金が必要だと判断された特定の産業に設定されています。
特定最低賃金が設定されている産業は、都道府県ごとに異なります。
令和6年3月末の時点で、各都道府県および全国において設定されている特定最低賃金の件数は224件、適用されている労働者数は約283万人です。
これに対して地域別最低賃金は、産業や職業を問わず、すべての労働者に適用されているもので、都道府県ごとに定められています。
地域別最低賃金は全国各地域において必ず設定するものであり、決定先は都道府県労働局長です。
地域別最低賃金は、すべての労働者に対して最低限の賃金を保障する「セーフィティネット」の役割を果たしています。
出典:厚生労働省「特定最低賃金について」
出典:厚生労働省「特定最低賃金について/PDF」
特定最低賃金導入が介護業界にもたらす影響
ここでは、特定最低賃金導入が介護業界にもたらす影響を3点ご紹介します。
特定最低賃金導入がもたらす影響には、プラス面とマイナス面が存在します。
具体的に見ていきましょう。
人材確保への期待
介護職に特定最低賃金が導入されると、地域別最低賃金よりも高い賃金を得られます。
2025年3月17日の参議院議員予算委員会で田村麻美議員が、以下のように提議しています。
「特定最低賃金の活用により、介護職の賃上げに加えて、他職種から介護業界に転職する人の増加が期待できる」
賃上げの効果で介護業界への転職者増加が実現すると、新たな介護人材確保につながるでしょう。
サービスの質の向上
特定最低賃金は都道府県をまたいで設定できるため、介護職員の全体的な賃上げ拡大につながる可能性があります。
賃上げに加えて、喫緊の課題である処遇改善がはかられると、介護職員のモチベーション向上や離職率低下が期待できます。
特定最低賃金導入により介護人材が増えると、職員1人当たりの負担が軽減されるでしょう。
負担が軽減されたことで職員に心身の余裕が生まれると、サービス利用者への対応もより良くなり、サービスの質向上につながります。
事業者への影響
特定最低賃金が導入され、実際に職員の賃上げが行われると、介護サービス事業所には「人件費の増加」という影響が生じます。
介護事業所の主な財源は、介護報酬とサービス利用者からの利用料です。
介護報酬改定は3年に1度行われます。
2024年度に改定されたため、次の改定は2027年度です。
改定により各種介護サービスの報酬が増加しない場合、人件費増加に対して収入が追い付かなくなり、経営が難しくなる可能性も出てくるでしょう。
特定最低賃金に関する直接の対応策とは異なりますが、人件費改善に必要な費用補助として「介護人材確保・職場環境改善事業」があげられます。
厚生労働省による「介護人材確保・職場環境改善等に向けた総合対策」の1つで、令和6年度補正予算にて1,103億円計上されました。
この事業は、介護職員等処遇改善加算を取得し、生産性向上に向けた取組を行っている事業所に対して、職場環境等の改善又は人件費の改善に必要な費用を補助するものです。
しかし、特定最低賃金導入により人件費が増加した場合、この事業だけでは追い付かない可能性もあります。
今後も新たな対応策や介護報酬の引き上げなどが望まれるでしょう。
これからの動向に注目したいところです。
出典:厚生労働省「令和6年度厚生労働省補正予算の概要(老健局関係)」
介護職への転職・就職を検討する方が意識したいこと
ここでは、介護職への転職や就職を検討する方が意識したいことを、未経験者向け、経験者向けのメッセージとしてお伝えします。
未経験者へのメッセージ
介護職は、数多くのやりがいや、魅力がある仕事です。
利用者や家族の笑顔が見られたときや、感謝の言葉を受け取ったときなどは、とても嬉しく、「この仕事について良かった」と思えます。
人の役に立っている、社会に貢献できていると実感できることも多い仕事です。
経験者へのメッセージ
介護職にはさまざまなキャリアがあります。
- 介護職員初任者研修受講
- 実務者研修受講
- 介護福祉士資格取得
段階的にキャリアを重ね、介護福祉士資格取得したのち、介護現場で働き続ける選択肢もあれば、5年の実務経験後にケアマネジャー資格を取得する選択肢もあります。
認定介護福祉士や喀痰吸引等研修、認知症ケア専門士といった資格取得で、スキルを深めることも可能です。
特定最低賃金導入による介護職への影響に注目しよう
介護職の賃上げや待遇改善は、介護業界の人手不足解消にとって必要な施策です。
石破総理が言及した介護職への特定最低賃金導入の詳細は、現時点では未定です。
しかし、「政治主導で判断」との発言もあることから、今後導入に向けて積極的に動く可能性も高いといえるでしょう。
特定最低賃金導入の有無、導入により介護職の状況がどのように変化していくかなどが、今後注目されます。
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